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名古屋地方裁判所 平成3年(わ)228号 判決 1991年3月22日

本店所在地

名古屋市南区本城町二丁目五一番地

丸徳産業株式会社

(代表者代表取締役 久納昇辰)

本籍・住居

名古屋市南区星崎一丁目一九一番地

会社役員

久納昇辰

昭和一三年一月七日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官圓山慶二出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人丸徳産業株式会社を罰金四〇〇〇万円に

被告人久納昇辰を懲役二年に

処する。

被告人久納昇辰に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人丸徳産業株式会社(以下「被告会社」という。)は、名古屋市南区本城町二丁目五一番地に本店を置き、梱包荷役請負等を目的とする資本金二〇〇〇万円の株式会社であり、被告人久納昇辰(以下「被告人」という。)は、被告会社の取締役(平成元年一〇月一〇日以降は代表取締役)としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の右業務に関し、法人税を免れようと企て、被告会社経理課員に指示して架空労務費、架空退職金等を計上するなどの方法により、所得の一部を秘匿した上、

第一  昭和六一年九月一日から昭和六二本八月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億五一八一万五一六九円であり、これに対する法人税額が六一四五万円であるのに、昭和六二年一一月二日、名古屋市熱田区花表町七番一七号の所轄熱田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億〇八二七万二二六三円であり、これに対する法人税額が四三一六万一九〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を郵送の方法で提出し、もって、不正の行為により正規の法人税額との差額一八二八万八一〇〇円(別紙3-(1)脱税額計算書参照)を免れた

第二  昭和六二年九月一日から昭和六三年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が二億九七〇六万四四八〇円であり、これに対する法人税額が一億二二二四万三六〇〇円であるのに、昭和六三年一〇月二九日、前記熱田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億五二六二万二三七四円であり、これに対する法人税額が六一五七万八〇〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により正規の法人税額との差額六〇六六万五六〇〇円(別紙3-(2)脱税額計算書参照)を免れた

第三  昭和六三年九月一日から平成元年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が四億八五八七万一九四四円であり、これに対する法人税額が二億〇一六〇万八五〇〇円であるのに、平成元年一〇月三一日、前記熱田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二億五四六二万六三七九円であり、これに対する法人税額が一億〇四四八万五六〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により正規の法人税額との差額九七一二万二九〇〇円(別紙3-(3)脱税額計算書参照)を免れたものである。

(証拠の標目)(なお、以下の括弧内のうち、甲又は乙は証拠等関係カード記載の分類を、また、これに続くアラビア数字は同カード記載の請求番号を示す。)

判示事実全部について

一  被告会社代表者兼被告人の当公判廷における供述

一  被告人作成の上申書二通(乙1、2)及び被告人の検察官に対する供述調書(乙3)

一  成田隆司の検察官に対する供述調書(甲14)

一  登記官作成の商業登記簿謄本三通(乙12ないし14)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書七通(甲5ないし9、11、12)

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の証明書(甲2)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の証明書(甲3)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の証明書(甲4)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書二通(甲10、13)

(法令の適用)

一  被告人について

被告人の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するところ、所定刑中、いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役二年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

二  被告会社について

被告人の判示各所為はいずれも被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社に対し、判示各罪についていずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項及び情状により二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社を罰金四〇〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 鈴木之夫)

別紙3-(1)

脱税額計算書

<省略>

税額の計算

<省略>

別紙3-(2)

脱税額計算書

<省略>

税額の計算

<省略>

別紙3-(3)

脱税額計算書

<省略>

税額の計算

<省略>

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